食道と胃のつなぎ目にあたり胃からの逆流を防ぐ役割を果たしている筋肉の調節がうまくいかなくなることが、原因の一つと考えられています。しかしそれ以外にも、胃酸の分泌量が多すぎることや、食べた直後に横になるといった習慣、なにかの病気の治療のために長期間薬を服用している場合のその影響なども考えられます。また、肥満や骨粗鬆症の方に多い傾向も指摘されています。
この病気とよく似た「逆流性食道炎」という名前の病気もあります。これは、胃の内容物の逆流によって食道に炎症が起きてしまった状態を指す病名です。炎症が起きているかどうかは内視鏡検査で確認されます。ですから、胃食道逆流症の症状がある患者さんを内視鏡で検査して食道の炎症が確認されれば、逆流性食道炎と診断されます。
しかし、症状があるのに内視鏡検査で食道の炎症がみられない人が少なくなく、反対に食道に炎症があるのに症状はない人も希ではありません。その理由として、食道の粘膜が刺激に対して過敏になっているために、炎症を起こすほどではないわずかな胃酸の刺激で症状が現れる可能性などが推測されています。
内視鏡の性能がよくなり検査件数も増えた近年、このような新しい事実が次々と明らかになってきています。そのため専門家の間でも、これらの病気の捉え方に次々と新しい解釈が出てきています。
なお、胃食道逆流症そのものは症状が不快で気になるものの、からだに深刻な事態を起こすことはあまりありません。しかし、食道炎からの出血、食道狭窄、ヘルニアなどを合併・併発することがあり、食道がんの発生も可能性としては考えられるので、なるべく一度は検査を受けたほうがよいでしょう。

しかし、衛生環境が向上したことでピロリ菌の感染者率が低下し、同時に脂肪の摂取量が増え、栄養状態は改善を通り越して過剰傾向になり、肥満も増えています。これらはすべて胃酸の分泌を増やすように働きます。そして実際に日本でもこの病気の頻度が欧米と変わらない程度にまで増えていることがわかっています。
このような背景を知ると、この病気の予防法や治療法が分かってくることでしょう。つまり、胃酸の分泌が必要以上に増えないようにすればある程度、発病を抑えたり症状改善に有効だということになります。具体的には、食べ過ぎない、脂肪分の多い食事を控え目にするといったことです。また、物理的な逆流を防ぐため、食後すぐに横にならない、なるべく前屈姿勢をとらない、ベルトやコルセットをきつく締め過ぎないという工夫も有効と考えられます。
医師による治療としては、胃酸の分泌を抑えるプロトンポンプ阻害薬という薬が処方されます。しかし、この薬が症状の改善にあまり効を奏さない患者さんが少なくありません。とくに、内視鏡検査で異常が見付からないのに症状が現れている患者さんでは、薬の効果が低いことがわかっています。そのような場合、薬の種類を変更したり(例えばH2 ブロッカーや漢方薬)、または複数の薬を併用したりする工夫が試みられます。
なお、薬の効果が出にくく強い症状が続く場合には、胃から食道へ逆流しにくい構造にする内視鏡的または外科的な手術が検討されることもあります。
GERD研究会
(ku)














